子どもの頃、
「こぼしたらアリさん来るよ。」
そう言われたことがある人は、多いのではないでしょうか。
ジュースをこぼしたとき。
お菓子を落としたとき。
「ほら、アリさん来ちゃうよ。」
私も保育者になってから、親になってから、何度子どもたちにそう声をかけたか分かりません。
でも、ふと考えました。
実際に、こぼしてすぐアリが集まってくる場面を見たことってあるかな?
私は、ほとんどありません。
だからこそ、『ありんこぐんだん』は面白いのです。
子どもたちは、
「甘いものにはアリさんが来る。」
ということは知っています。
でも、その先の世界は見たことがありません。
その「見たことのない世界」を、
ユーモアたっぷりに、そして細かく描いてくれている。
だから子どもたちは夢中になるのだと思います。
「本当にこんなことしてるのかな?」
「アリさんってこんなふうに運ぶの?」
ページをめくるたびに、想像がどんどん広がります。
文字を読んで楽しむだけではありません。
絵をじっくり眺めるだけでも、何度でも楽しめる。
だから、
「もう一回!」
「もう一回!」
と、何度も持ってくる。
気がつけば、絵本は少しずつボロボロに。
でも私は、そのボロボロになった姿を見るたびに嬉しくなります。
絵本がボロボロになるのは、きっと子どもたちに、たくさん愛された証ですよね。



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