「男の先生のクラスにはしないでほしい」――適性に性別は関係ない

🌷子育て・保育への思い

私が勤めている園には、男性の先生がいます。

今では、男性保育士や男性幼稚園教諭がいることは、決して珍しいことではなくなりました。

それでも、保護者の中には、男性の先生に対して抵抗や不安を感じる方が一定数いるのも事実です。

実際、担任が決まる前に、

「男の先生のクラスにはしないでください」

とおっしゃった保護者の方がいました。

その言葉を聞いた先生は、もちろんショックだったと思います。

自分が一生懸命やっている仕事そのものを、性別だけで不安に思われている。

そう感じたら、傷つくのは当然だと思います。

でも、その先生は違いました。

「そういう声があることは、もちろん覚悟していた」

そう言ったんです。

そして、

「でも、絶対に『担任が僕でよかった』って言わせてみせる。逆にやる気が出る」

と。

私は、それを聞いてすごいなと思いました。

「男だから不安」と言われたことを、ただ悲しむのではなく、

「じゃあ、自分の保育を見てもらおう」

「自分と子どもたちとの関わりを見てもらおう」

と、前を向いたんです。

そして、実際にその先生は、今では子どもたちに大人気です。

子どもたちと全力で遊ぶ。

一人ひとりとしっかり向き合う。

子どもの小さな変化にも目を向ける。

保護者の不安や思いにも寄り添う。

「先生、大好き!」

と子どもたちが集まってくる。

そんな姿を見ていると、

「保育者としての適性に、性別は関係ない」

と改めて思います。

もちろん、保護者の不安を「偏見だから」と簡単に片づけてしまうのも違うと思っています。

子ども自身が男性を苦手としていることもあります。

過去の経験から、男性に抵抗を感じる子もいるかもしれません。

そして、ニュースなどで子どもに関わる良くない事件を目にすることが多い今、

「男性の先生に子どもを任せるのは少し不安」

と思ってしまう気持ちも、理解できます。

だからこそ、

「男性だから心配するなんておかしい」

と、保護者の気持ちを否定するのではなく、

不安があることを前提に、どうしたら安心して子どもを預けてもらえるかを考えること

が大切なのだと思います。

そして、その安心を男性保育者一人だけに背負わせる必要もありません。

園全体でカバーすることができます。

着替えや排泄など、保護者が特に気になる場面について園全体で共通理解を持つ。

担任一人だけで抱え込まず、必要に応じて他の職員も関わる。

子どもと保育者との関係を、担任だけではなく園全体で見守る。

保護者が不安や疑問を感じたときに、相談できる環境をつくる。

そうやって、「大丈夫ですよ」と言葉だけで安心させるのではなく、誰が担任であっても安心できる仕組みを園としてつくることが大切なんだと思います。

性別による不安を、無理になくそうとしなくてもいい。

不安があるなら、その気持ちを聞けばいい。

そして、その不安に対して、園としてできることを考えればいい。

そうすることで、

「最初は少し不安だったけれど、この先生でよかった」

と思ってもらえることもあるのではないでしょうか。

私は、男性の先生だからこそできることもあると思っています。

男性の先生だから興味を持つ子がいる。

男性の先生だから一緒に楽しめる遊びがある。

女性の先生とはまた違った関わり方に、子どもたちが刺激を受けることもある。

でも、それも「男性だからこう」という話ではありません。

大切なのは、その先生がどんな人なのか。

どんなふうに子どもと関わるのか。

どんな思いで保育をしているのか。

そこを見てほしいと思います。

「男の先生だから」

ではなく、

「この先生だから」

と思ってもらえること。

それが、一番大切なんじゃないでしょうか。

そしてこれは、男性保育者だけの話ではありません。

女性だから保育が上手とは限らない。

男性だから力があって遊びが得意とも限らない。

優しい人もいれば、厳しい人もいる。

子どもとの関わり方も、一人ひとり違います。

だからこそ、

性別ではなく、その人自身を見てほしい。

保育者としての姿を見てほしい。

子どもたちとの関係を見てほしい。

そして、保育者自身も、

「男性だから信頼されない」

「女性だから大丈夫」

という性別に縛られるのではなく、

一人の保育者として、自分の保育に責任を持つ。

それでいいのだと思います。

もちろん、すぐに不安がなくなるわけではないかもしれません。

でも、毎日の関わりの中で少しずつ信頼を積み重ねていくことはできます。

先生一人ではなく、園全体で支えることもできます。

子どもを真ん中に置いて、保護者と保育者が一緒に安心をつくっていく。

それができれば、

最初は「男の先生はちょっと……」と思っていた保護者にも、

いつか、

「この先生が担任でよかった」

と思ってもらえる日が来るかもしれません。

性別だけで、人の可能性を決めないでほしい。

男性だからできないことがあるのではなく、

その人だからできる保育がある。

私は、そんなふうに思っています。

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