「保育者になったばかりなので……」
「担任1年目です。」
「この学年を受け持つのは初めてです。」
新年度になると、そんな自己紹介を耳にすることがあります。
もちろん、謙虚な気持ちや誠実さから出る言葉なのだと思います。
でも私は、20年以上保育に携わってきた今、少し違う考えを持っています。
子どもを預ける保護者にとって、
新人か、ベテランか。
実は、それは一番大切なことではありません。
保護者が願っているのは、
「安心して子どもを預けられること。」
その一点ではないでしょうか。
新人の先生には、新人だからこその良さがあります。
子どもたちと一緒に喜び、一緒に悩み、一生懸命向き合う姿。
新しい学びを素直に吸収しようとする姿勢。
その一つひとつが、子どもたちにとって大きな魅力です。
一方で、ベテランには、これまで積み重ねてきた経験があります。
たくさんの子どもたちと出会い、保護者と向き合い、失敗や成功を繰り返してきたからこその安心感があります。
でも、それは優劣ではありません。
どちらにも、その人にしかない強みがあります。
以前、新人の先生から相談を受けたことがあります。
「保護者の方に、
『先生は子育てしたことないですよね。だから分からないですよね。』
と言われました。」
その先生は、とても落ち込んでいました。
私は思います。
子育てをしているか、していないかだけで、保育者としての価値が決まることはありません。
保育者は、勉強を重ね、資格を取得し、子どもの発達や関わりについて学び続けている専門職です。
そのことには、自信を持ってほしいと思います。
でも同時に、私はこんなふうにも考えます。
なぜ、その保護者はそんな言葉を口にしたのだろう。
そこには、子育てへの不安や孤独、必死な思いがあったのかもしれません。
もしかすると、
「もっと気持ちに寄り添ってほしかった。」
そんなサインだったのかもしれません。
だから私は、
保護者の言葉に傷つくだけで終わるのではなく、
その背景にある思いにも目を向けられる保育者でありたいと思っています。
そして、それは新人の先生だけではありません。
子育て経験のある先生でも同じです。
経験があるから完璧ということはありません。
私自身、20年以上保育を続けていますが、今でも毎日学ぶことばかりです。
新人の先生から教えてもらうこともあります。
子どもたちは毎年違います。
保護者も一人ひとり違います。
だから、保育に「完成」はありません。
保育者になったら終わりではありません。
そこからが、本当のスタートです。
子どもと向き合い、
保護者に寄り添い、
学び続けること。
経験年数よりも大切なのは、その姿勢だと私は思います。
新人の先生も。
ベテランの先生も。
一緒に学び、一緒に成長しながら、
子どもたちにとって安心できる場所をつくっていけたら嬉しいです。



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